【読書談義】フィンランドの教育はなぜ世界一なのかを読んで

    Becco.です。

    今回は岩竹美加子さんの著書『フィンランドの教育はなぜ世界一なのか』(2019)を読んだ感想と解説をしていきたいと思います。

    フィンランドの教育はなぜ世界一なのか

    ちょうど何日か前にこんなツイートもありました。

    教育に携わっている方ならば、同じように感じたことがある人は多いのではないでしょうか?

    実際、フィンランドの学力水準はどのくらいなのか?

    国際到達度調査(PISA)の結果

    PISAでは義務教育終了段階(15歳)を対象に読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野について調査をしており、2018年度の結果だけを見れば、日本とフィンランドでは分野ごとで差はあるものの、全体的にそこまで差はないと思われます。

    では、なぜ上記のようなツイートが日本でバズるのか、今回紹介する本が書かれたのか?少し覗いて行こうと思います。

    どんな話?

    『フィンランドの教育はなぜ世界一なのか』は、著者である竹内美加子さんの実際の子育ての経験を交えつつ、フィンランドの教育を日本の教育と比較しながら論じておられます。教科指導に関することのみならず、生徒指導や人間を育てるという広い観点から親としてフィンランドの教育システムをどのように感じるかという視点で書かれています。読むと、こんな自由に学んでいるフィンランドの学生とこんなにも詰め込み(ゆとりだったが)で受験争いの激しい日本のPISAの結果がだいたい同じなんてと打ちひしがれるとともに、様々な学びを得られると思います。

    スポンサーリンク

    こんな人にオススメ

    この本はこんな人にオススメです。

    1. フィンランドの教育に興味がある。
    2. 親御さん。
    3. 日本の教育に疑いを持っている。

    世界には様々な教育方法があり、その中で最も注目されている国としてフィンランドがあります。フィンランドではどのようなことを学校で教えているのかを知りたいという方、フィンランドでの子育てにまつわる社会の仕組みについて知りたいという方、また日本の教育、または日本にはびこる風潮に違和感を持っているという方にぜひ読んでいただきたいです。

    個人的に印象に残っている部分

    個人的に印象に残っている部分としては、はじめにで触れられている「ウェルビーイング」という概念についてと、第3章で述べられているいじめの予防について、第5章で述べられている「考える力」の身につけ方についてです。私にとってはどれも現代日本社会で問題となってきたことを含む大事な事柄であると感じました。

    まずウェルビーイングとは権利教育(義務とともに権利の教育がしっかりしている)とともに教育の柱となっている概念です。その意味は幅広く一言で表すのは難しいですが、「身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念」になります。日本では「福祉」と訳されることが多いようですが、日本で福祉を指す領域は社会的な状態を指すことが多く、実際には身体や精神など広く捉えられる概念になります。

    1946年の世界保健機関(WHO)憲章の草案の中では「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態(well-being)にあることをいいます」とされています。

    このことは個人の生き方を最も尊重するということで、大学へ進学するかどうかの決定(これは少し仕組みが異なるよう)、一斉卒業、一斉就職、長時間労働も、ウェルビーイングと照らし合わせて良くないことはないということです。

    二つ目にいじめの予防について。フィンランドでももちろん日本と同じようにいじめは存在するようです。しかし、いじめ対策についての根本的な考え方は日本と大きく違うようである。日本ではいじめの要因に個を尊重する価値観やテクノロジーの普及といったことが挙げられていて、これは個人の権利から出発するフィンランドの考え方と大きく異なりますし、テクノロジーを敵視するような書き方もあまり良いことではないと思います。まずはいじめが法的な問題であることを強く認識するところから始め(予防)、起こってしまったいじめに関しても大人や警察を交えてしっかりと支えていく具体的な体制を整えることが大事だということです。

    ※日本にも平成25年度にいじめ対策推進法が成立し、いじめが法的な問題であるという認識は強まってきていると思うが、これをどのようにして親やこども、地域で広く意識していくかが今後の課題であると考えられる。

    最後に第5章の考える力の身につけ方の章では、まず学校の登校義務の話がありました。フィンランドでは学校を強制していません。学習義務はあるが登校義務はないといいます。学校にいかない代わりにホームスクールやその他のサービスを利用しながら相応の知識やスキルを習得していく。よって不登校という概念はありません。進学に関してもフィンランドでは高校から普通学校と職業学校に分かれる(進学or就職)。日本だと大学進学が当たり前のような風潮になってきているが、フィンランドでは必ずしもそうではなく、またその間に溝のようなものもない。そしてフィンランドでは高校から自分で時間割を作成するという(大学のような)。このように小さい頃から、自分の人生を自分で選択し決定していく習慣ができていきます。日本で言うところのアクティブラーニングというやつです。

    もちろん日本には日本の良いところがあり、そのような伝統を引き継いでいかなければならないと思うが、ブラックな労働環境、いじめ問題、投票率の低さ然り、日本の社会の問題の解決の糸口として、ウェルビーイング、権利教育(いじめの捉え方)、市民教育、アクティブになれる制度などフィンランドの教育から学ぶことは多いと思いました。

    最後に

    著者も本の中で述べていますが、そもそも日本とフィンランドでは人口の数から社会の仕組みから違うので、フィンランドの教育が良さそうだからといってそのまま取り入れることは難しいと思います。しかし、現状の日本の教育システムが抱える問題について考えるときに、フィンランドの教育システムを参考にすることで解決の糸口を見出すことはできると思います。個人的な興味としては、学力に関してはあくまでPISAは義務教育終了段階の結果であり、その後の影響はよくわからないので、中等教育から高等教育にかけての政策とも合わせて考えていきたいなと思います。

    いかがでしたでしょうか?

    興味を持たれた方は是非お手にとってみてください。

    スポンサーリンク

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です