【私淑のすすめ#1】勝手に師と仰ぐ〜山口一郎先生〜

     

    勝手に師と仰ぐシリーズ

     

    「私淑」という言葉を最近知りました。尊敬する人に直接教えを受けることはできないが、その人を模範として慕い、学ぶこと。このシリーズでは私淑を通じて、私が尊敬し、その生き方や考え方に深く共感している方を掘り下げていきたいと思います。

     

    第一弾はサカナクションのフロントマンである山口一郎さん。

     

    サカナクションといえば、文学性高い歌詞と郷愁感あふれるフォーキーなメロディ、 バンドのフォーマットからクラブミュージックのアプローチをこなすなど独自のスタイルを持つロックバンドとして知られています。

     

    今回は山口さんの幼少期の話やサカナクション結成後、デビュー後の彼らの活動を取り上げつつその魅力をまとめていきます。

     

     

    文学少年だった。そしてフォークソング。

    幼少期より、父親の影響で本をたくさん読んでいたようです。

    よく近所の古本屋に連れて行かれて、空のダンボールを渡されるんです。「ここに好きなだけ本を入れろ」って。そして父と僕、それぞれダンボールいっぱい一箱ずつ買う。

     

    特に傾倒して言ったのは昭和文学です。太宰治、芥川龍之介、寺山修司、種田山頭火…。読んでいくうちに言葉の魅力というか魔力に惹かれるようになり、自分でもそれを生み出すことができるんだということに気づいてからは、どんどん面白くなっていきました。

     

    そして彼が一番最初に見たライブはフォークシンガーの友部正人さんだったそうです。

    *フォークソングは、70年代に流行した音楽ジャンルの一つで、伝統的にはアコースティックギターを用いた音楽表現である。戦争反対や人種差別反対など社会的なメッセージを込めた楽曲が多く存在する。

     

    大人が真剣に歌っている姿を見て、やはり恥ずかしくなってしまったところはありました。でもみんなが感動している部分はなんとなく伝わってきたんです。(省略)そういう身近な人たちがどういうものに感動するのかを深く探りたい気持ちもあり、友部さんの歌詞は本当によく読み込みました。あと、学校で流行っているような音楽と比較して、どこが違うのか研究しましたね。

     

    この頃から、自分が好きな音楽と流行の音楽の差がなんなのか疑問を持っていたんですね。また、流行の音楽は、強制でもないのにみんな覚えているところにも疑問を持ったようです。

     

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    育成契約、そしてサカナクション結成

    17歳で、出場したライブハウス主催のコンクールで優勝し、ビクターと育成契約を結びます。そこから、ロックバンドとして「ロックとは何か」を模索する傍ら、クラブシーンでDJとしても活動されます。長い下積み期間を経たのち、2005年、25歳の時にサカナクションを結成。そして2007年、ファーストアルバム「GO TO THE FUTURE」が発売されました。

     

    ロックミュージック、そしてクラブシーンの音楽、その二つの重なる部分を突き詰めるのちにサカナクションは誕生したのですね。

    *サカナクションとは「サカナ(魚)」+「アクション」を組み合わせた名前です。山口さんは大の魚好きで「サカナ」という語をどうしてもバンド名として使いたかった。しかし「サカナ」というダサい単語をどうにかしてかっこよく響かせたいと試行錯誤したのちにできた名前だそう。

     

    参考

     

    翌年、2008年にはセカンドアルバム「NIGHT FISHING」を発売。

    このアルバムからの裏リード曲「ナイトフィッシングイズグッド」は6分を超える大作で自主制作のMVがあります。

    日本では、クラムボンの「Musical」やくるりの「ワルツを踊れ」などロックバンドがクラシックをフィーチャーする試みがこの頃から盛り上がってきます。(海外ではQueenなどが代表的)

    https://www.hmv.co.jp/news/article/802050132/

     

    サカナクションは2009年に3rdアルバム「シンシロ」を発売しました。

    このシンシロという言葉は、サカナクションのメンバーが拠点を地元北海道から東京に移し、音楽だけでなく生活全てが変化する中で生まれた言葉だという。

    https://www.barks.jp/news/?id=1000046539

    ホントは、新しい白で『シンシロ』です。このアルバムで、いままで自分たちが積み重ねて来たこだわりだったり、プライドだったり、モチベーションだったりを一度真っ白にして、ホントに真っ白な世界のなかで、新しくまた積み重ねていこう、と。だから、『シンシロ』は〈第一期サカナクション終了〉ぐらいのアルバムなんじゃないかな。

     

    「シンシロ」では、初のシングル「セントレイ」が収録されているほか、よりエンターテイメントを意識した音楽となっており、オーバーグラウンドとアンダーグラウンドを行き来するサカナクションの音楽性はここで確立される。

    https://tower.jp/article/interview/2009/01/08/100041042

     

    文学に対する信頼

     

    サカナクションのもう1つの魅力は山口さんが紡ぐ歌詞ですが、彼の歌詞は幼少期より嗜んでいた文学が大きな影響を与えています。

     

    僕、いま28(歳)なんですけど、22から25ぐらいのときが、一番多感な時期だったんですよ。その頃に感じてたものが、いまのすべて。僕、18から25ぐらいまでのあいだ、文学に対して一切、手を抜かなかったんです。真摯に向き合ったし、自分自身にも甘えを持たなかった。自分だけじゃなく他人にも厳しかったんですけど、そのときの経験がいまに生きてる。だから、歌詞を書くときに何かから影響を受けているとしたら、過去の自分が書いた言葉だったり、その頃に考えていたことですね。モラトリアムから抜け出しかけてる自分が当時に戻って、同じことについて語るならどう言うだろうな?って。

     

    文学や言葉が、政治や国さえ変えると思ってた。そう思えるぐらい、僕は文学を信用してた。誰かが20年、30年かけて研究したり考えたりしたことを一冊の本で知ることが、当時の僕にとっては大切だったんですよ。だから、その頃の自分が書いたことっていうのは、僕が読み続けてきた作家の考えにピンポイントで影響を受けている言葉――僕からOKサインが出た言葉、共感した言葉だから、すごくデカイんですよね。いまは「こういう意見もあるよね」って文学に対して斜に構えてるところがあるけど、当時は「自分はここだ!」みたいに、何にでも食いついていく積極性があった。ひとつの気持ちを知るために昔の文献を読んだりとかして、ホントに信頼してた。文学に勝るものなし、って思ってた。

     

    https://tower.jp/article/interview/2009/01/08/100041042/100041045

     

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